ヤマハが倒れないバイクを公開

ヤマハのAMSASについて、その特徴は?

ライダーにとって立ちゴケはもっとも避けたい「カッコ悪い」ものですが、取り回しのコツを身につけるのに苦労するものです。
特に道路で転倒したとなれば、他の通行者にも迷惑が掛かりますし、事故として扱われることもありますから、避けたいと思っているライダーしかいないと言っても過言ではないでしょう。

もし倒れないバイクがあれば、そうしたライダーの悩みが解消されることになります。
ヤマハが開発しているそんな夢のようなバイクの名前は「AMSAS(アムサス)」というもので、正確にはバイクそのものの名前ではなく、運転支援システムのことです。
ですから、将来的にこの運転支援システムが実用化されることになれば、搭載されているバイクはすべて「倒れないバイク」ということになります。

この運転支援システムでは、「バイクを停めた状態でも倒れない」とされています。
これは前輪とハンドルの部分にアクチュエーターを装着することで、車体バランスを維持する機能によって実現しています。
この運転支援システムでは時速5km未満の低速で運転している時に作動するもので、もしバランスを崩して倒れそうな状態になるとタイヤのトルクを強める、ハンドル操作を補助するといった機能が働くことで、転倒を防いでくれるのです。

重要なポイントとなるのは、あくまで「低速で走行している時に作動する」ことです。
ですから、通常の運転をしているときには作動しないため、せっかくスピードに乗った状態で車体を傾けてカーブを切ろうとしたときにアシスト機能が働くといった「余計なお世話」な状態になることがないのです。
ライダーの快適に運転を優先しつつ、転倒のリスクを防いでバイクの安全性を高めるという非常に優れたシステムと言えます。

既存車両への応用も期待

ヤマハでは人間と機械を一体化させるで機械を操る喜びを高める「人機堪能」をコンセプトに、製品づくりや取り組みを行っています。
このAMSASも、そんなヤマハの取り組みの一環と言えるでしょう。
この運転支援システムも構造そのものは非常にシンプルなため、既存のバイクへの装着もしやすい特徴を持っています。
もし実用化されれば、新しいバイクを購入しなくてもこの支援システムで大幅な運転の安全性を高めることができるかもしれないわけです。

ヤマハでは2050年までに交通事故ゼロを目標としており、このバイクの運転支援システムはその目標を達成するための「切り札」のひとつになるかもしれません。
現時点での市販化はまだまだ難しいとされていますが、ヤマハでは将来的には「本体価格に+5万円」でこのシステムを搭載できるのを目指しているとしています。